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2004-10-15 13:44:00

SURF 2004 No.68号

内の眼外の眼ー仙台の隠れた宝物

 7年前に私が青森県立保健大学で働くことが決まった時、青森といえば大聞の一本吊り本マグロや田子の大粒にんにくなど世界随一ともいえる食材の宝庫ということで期待に胸を膨らませたことがあった。しかしいざ青森に来てみると大間のマグロはほとんど手に入らず、青森屈指のにんにく料理の店は中国産にんにくを使ったものだった。地方のすばらしい素材がそのまま東京の築地へ、大田へ行き東京の人の口に入るのである。東京の居酒屋「たんと」では"芝浦牛"が一番の人気メニューとなっている。東京の芝浦で牛が飼育されているわけではない。全国トップクラスの牛肉は、すべて芝浦市場に集まってくるということの皮肉をメニュー名に表しているのだ。こうした食の植民地状態では、いつまでも地方の経済的自立はありえない。そんなことから最近「地産地消」の重要性が叫ばれている。私はこの地産と地消の間に「地加」すなわち『地域で付加価値をつけること』をいれるようにしているが、地方の経済効果でいえば、これこそが重要なことだ。仙台はどうかと言えば、米国の BSE問題から牛タンの危機が全国放送を流れ、この報道を見た多くの人たあちが「なんだ牛タンは仙台ではなく米国産だったのか」と気がついた。少なくともほとんど地産ではないわけだ。「仙台なす」は次々と疑問が生まれた人も少なくなかろう。

 仙台をみちのくの中心と考えると実は世界一の食材の宝庫といっても過言ではない。最近、地産地加地消をめざし、飲食経営を始めたことから、仕入れ先探しに東北地方の農家や漁師を訪ねる機会が増えた。するとどうだろう、本当に世界に1つだけの生産方法で科学的にも成分分析すると輸入ものよりもはるかに栄養価の高いにんにくや自然薯といった農作物をつくっている農家の方、どこにも負けないアジを白炭で炊き上げ、出汁は他に類を見ない焼き干しをつくっているおばあちゃんなど、隠れた宝ものがたくさんあるのかということに気がついた。これからは、そうしたものを、地域で付加価値をつけて、ブランド化し、わざわざ東京から食べにこなければ食べられないようなオンリーワンのお店が仙台に増えていくことを期待したい。私が東北大学・大学院と9年間仙台にいた時と比べると仙台市内に全国一括仕入れの全国チェーンの飲食店が目立つ。少し残念である。でも1つ面白いものに出会った。仙台ゴスペルフェスティバルだ。これは人間の夢をテーマにアカペラ、ゴスペルで街中を埋め尽くそうというイベントで去年が第2回目だったという。

 私は気がついた。そうか人の声も隠れた地域資源、宝ものなのだ。「人の声」によるまちおこしのさらなる発展を祈願する。

 


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