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2004-07-31 13:37:00

『読売新聞 宮城版』 平成16年(2004年)7月

 

地元産品に付加価値を たくさんある「宮城の隠れた宝物」
■チャレンジの場  --地場産の物品を地元で消費する「地産地消」は、なぜ重要なのですか。
「顔の見える」産品なので、消費者にとっては安全で安価、新鮮な物が手に入り、生産者にすれば安定供給が期待できます。
しかし、これだけでは経済的メリットが小さい。特産品を地元で加工し、付加価値を付けて売れば地方経済が活性化し、農林水産業を助け、輸送コストやエネルギーの削減にも寄与します。地産地消に付加価値を加える「地産・地加・地消」を提唱しています。

 

--具体的には。
地元で一?当り1000円の物品を地元で加工し、競争力のあるオンリーワンの製品を作れば1万円以上で売れる。青森産のホタテ貝柱などを使った中国の最高級調味料「XO醤」はその好例でしょう。しかし、今は特産品が域外で大量加工され、地元に還流して高い値段で買わされています。

--仙台で東北産の食材を使ったラーメン店や食堂を経営していますね。
ラーメン店ではスープに青森・陸奥湾産のホタテ貝柱、山形・酒田飛鳥のあご焼き干しなどを使い、麺は岩手の南部小麦を使って打っています。青森市で二年前にラーメン店を開いたのが一番最初で、出身地の札幌にも地場産品料理店を出し、計四店を経営しています。

--どうして大学の先生が飲食店の経営を。
専門は環境・エネルギー政策で、循環型社会や地産地消を自ら実践するためです。青森で一番人気の外食がラーメンなので、チャレンジの場に選びました。懐石料理店では大衆への普及効果が見込めません。ただ、ラーメンの原価率は通常30%程度ですが、高価な特産品を使うため、うちは45%を越えてしまいました。

■ビジネス感覚を
--きっかけは。
青森市内の大学に赴任した六年前、大間の本マグロ、田子ニンニクなど世界有数の素晴らしい食材を味わうのを楽しみにしていました。しかし、マグロは築地の市場に出荷され、人気ニンニク料理店では中国産が使われていました。地方が誇る食材は、みんな東京へ行く。これでは“食の植民地”ではないですか。
地産地消を推進する行政のビジョン作りにも携わりましたが、理念があっても、プレイヤーがいない。ならば、自分で挑戦してみようと考えたのです。

--客の反応は。
観光客の方が趣旨を理解してくれる人が多い。地元の人は身近な宝物の価値に気づきにくいのかも。気仙沼のサンマ節、唐桑半島のワカメは世界随一ではないですか。隠れた宝物は宮城に沢山ありますよ。

--課題はありますか。
生産者との直接取引は生産が不安定になりがち。生産者側も「納期を守る」といった基本的なビジネス感覚が必要ですね。

--新たな構想は。
三月に本格化した循環型地域構想「天竜峡エコバレープロジェクト」(長野県飯田市)に参画し、地産地消の実現を目指しています。飯田市特産の千代幻豚を使ったラーメン店も計画しています。

札幌市生まれ。東北大大学院理学研究科博士課程修了。富士総研主事研究員、青森県立保険大助教授などを経て、2002年から慶大大学院助教授。「せんだいラーメン金太郎」(仙台市青葉区)など飲食店4店舗を経営。41歳。

 


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