新着情報

2004-03-31 13:38:00

『東京読売新聞』 平成16年(2004年)3月31日

 ◆先進的試みを発掘、支援
 「青森県のエネルギーへの取り組みに感銘」「環境・エネルギー産業でのビジネスを見いだせる可能性を感じた」。

 昨年、東京と大阪で開かれた「環境・エネルギー産業創造特区」についてのフォーラムは、出席した商社やエネルギー関連企業など関係者から多くの意見が寄せられ、想像を上回る盛況に終わった。
 バイオマス発電を行うむつ小川原地域、廃棄物ゼロ社会を目指す八戸地域など十七市町村の可能性を生かし、思い切った規制緩和を図るこの特区は昨年五月に認定された。県では、特区構想をさらに推進しようと新年度、四千百四十五万円を予算計上した。

 具体的には、風力発電やバイオマス、燃料電池などを手がける外資企業を呼んで本県の取り組みを紹介する「国際フォーラム」、つくば市や三重県など全国に先駆けてエネルギー特区を進めている地域を集め、実績を報告する「全国特区自治体サミット」を行う。

 ほかに、特区エリア内の先進プロジェクトの発掘を本格化する。現在、県では、食品の廃棄物から水素ガスを取り出し、燃料電池の燃料として利用するシステムを調査する事業など四つを「パイロットプロジェクト」に認定しているが、今後、さらに発掘、支援する。また、エリア内のバイオマス資源、風力発電に必要なデータなどを一覧できる「ポテンシャルデータブック」を作成する。

 特区構想にも携わる慶応大の金谷年展助教授(環境エネルギー政策)は、「特区には全国のあらゆる企業が注目している。青森が地方初のエネルギー構造改革を担えるチャンスだ」と期待を寄せる。


2004-03-30 13:40:00

『東京読売新聞』 平成16年(2004年)3月30日

 

 ◆排出されるのは水だけ
 水素と酸素を使って発電する燃料電池は、省エネルギーと環境対策の切り札として注目されています。身近になりつつある燃料電池について学びましょう。(五十棲忠史)

 受講生の会社員Y宏さん「燃料電池の仕組みと現状を教えてください」
 大手町博士「理科の授業で習った『水の電気分解』を覚えているかな? 電気を使って、水を水素と酸素に分離させるというものだね。燃料電池は、その原理を逆にした。水素と酸素を化学反応させて、電気と熱を取り出す発電システムなんだ。排出されるのは水だけなので、クリーンなエネルギーとして注目されているんだよ」
 慶応大学大学院助教授の金谷年展さん「電池と言っても、電気をためるわけではありません。『水素化学反応装置』と呼ぶ方が現実的です。小さな発電機というイメージです」
 資源エネルギー庁企画官の安藤晴彦さん「燃料電池は、新エネルギーの“希望の星”的な存在です。石油依存度を減らせるだけでなく、新産業の創出も期待でき、場合によっては百兆円の市場になるとの説もあります。燃料電池が普及する上で壁となっている法規制は、二〇〇四年度中に整える予定です」
 Y宏さん「どんな分野で使われるのかな」
 博士「生活に密接にかかわりがあるのは〈1〉燃料電池自動車〈2〉給湯と発電の機能を併せ持つ家庭用(定置用)燃料電池〈3〉パソコンなどの長時間使用が可能になると期待されている携帯用燃料電池――の三つだ」
  資源エネルギー庁の研究会は、二〇二〇年までに期待される目標として、「燃料電池自動車五百万台、家庭用燃料電池千万キロ・ワット」を掲げている。日本の公道上には、すでに、四十八台(うち一台は東京都営バス)の燃料電池自動車が走っている。今後、爆発的に普及するためには、水素を補給する施設の充実が必要不可欠だ。また、家庭用の目標としている千万キロ・ワットという規模は、原子力発電所七―八基分に相当する。

   受講生の主婦K子さん「水素を使うって、もう一つイメージがわかないわ」
 岩谷産業広報・社会関連部の岡田高典さん「水素は、半導体の製造過程など工業用としては、広く使われています。流通しているのは、製鉄所や化学工場などから、副産物として発生する『副生水素』の純度を高めたものです。非常に軽くて拡散しやすい気体で、濃度が濃すぎても薄すぎても燃えない、という性質を持っています」
 金谷さん「家庭用燃料電池に使う水素は、供給網が整っている都市ガスや灯油などを『改質』して取り出そう、という考え方が一般的ですが、この場合、二酸化炭素が発生しています。将来的には生ゴミなどの廃棄物から水素を取り出す方法も期待されています」
  一般に、化石燃料を使って火力発電所で発電する場合、投入したエネルギーの約36%しか、電力として取り出せない。一方、化石燃料から取り出した水素を、家庭用燃料電池のエネルギー源として使う場合、投入したエネルギーの約32%を電力として、約40%を熱として、それぞれ取り出せる。合計すると、火力発電のほぼ倍のエネルギー効率が期待されている。  

 新日本石油FC開発グループの吉田正寛さん「水素と酸素を化学反応させて電気を作ると同時に、反応の際に発生する熱で水道水を温め、約60度の温水を作る家庭用燃料電池を開発中です。今の段階では、高額な上、耐久性にもやや問題があります。効率を向上させて二〇〇五年中には商品化したいと考えています」
 東京ガスのR&D企画部の藤崎亘さん「二〇〇五年初頭の商品化を目指しています。家庭用燃料電池は、家庭で使うすべての電力をまかなえるわけではありません。また、燃料電池をスタートさせる際に、酸素を取り込んだり、水を循環させるための電力が必要となるため、停電時の非常用電源としても使用できません。ただ、技術的には可能なので、研究しています」
  家庭用燃料電池と並んで、身近になりつつあるのが燃料電池自動車だ。燃料電池を使って発電し、モーターを回して走行する。日本勢ではトヨタ自動車とホンダが先行しており、二〇〇二年十二月以降、リースで官公庁や民間企業に限定販売している。

   ホンダ・本田技術研究所の藤本幸人さん「今の段階では車としては一人前ではありません。『氷点下での始動が困難』『航続距離が短い』『コストが高い』――などの課題があります。このうち、氷点下の始動については、技術開発が進み、マイナス20度まで対応可能になりました。航続距離は約三百九十五キロで、ガソリン車に比べると物足りません。コストについても、一台あたり億単位の金額がかかっています」
 博士「開発する人たちに頑張ってもらって、地球に優しい社会が、より早く実現するといいね」

 


2004-03-25 13:41:00

『東京読売新聞』 平成16年(2004年)3月25日

 

■十和田■ 慶応義塾大学大学院助教授の金谷年展さん(41)を招き、「スローフードから燃料電池まで」と題して講演と地元の郷土料理を味わう交流会がこのほど、東公民館で開かれた。

 金谷さんは、エネルギー・環境政策を専門に研究する傍ら、青森の素材を生かした大衆中華居酒屋の経営者としての顔も持つ。世界中から安い食材を輸入するのではなく、地元の一番おいしい素材を地元で生かすことこそが、環境にやさしく、利益にもつながると提案している。

 講演では、「オンリーワン的な発想として、その土地にしかない付加価値をどう付けていくか。つまり、これからは『地産地消』だけでなく、地元の素材に地元にしかない付加価値を付けて地元で消費する『地産地価地消』の考えが重要だ。成功しているまちに共通していることは、周りの人々に火をともすことの出来るキーパーソンが三人いること」と語りかけた。

 後半は、手作りの郷土料理やハーブ料理がテーブルを飾り、約四十人の参加者が金谷さんを囲んで交流した。主催者の一人、「とわだスローフードを楽しむ会」代表の苫米地ヤス子さん(56)は「将来のエネルギーのことや、地元の農作物活用について、農家のお母さん方を中心に、多くの人に聞いてほしかった」と述べた。七戸町から参加した女性は「たくさんの素晴らしい方が十和田周辺にいることが分かり、心強く思い、励まされた」と話していた。  金谷さんの言う、周りの人々に火をともすキーパーソン三人が、この会から生まれてくることを期待したい。(川端るり子)

 ◆元気いっぱい ウイング三沢のチビッ子スイマー
 ■三沢■ ―一年生になったら――。桜のつぼみもふくらんで、間近に迫った小学校入学を待ちわびるチビッ子スイマーの元気な喚声が、プールいっぱいに響きわたる。ここはフィットネスクラブ「ウイング三沢」の子どもスイミングスクール。二歳からの「幼児クラス」と、六歳からの「生徒クラス」で、年齢、体力、能力の段階に合わせて補助具を付け、一時間のレッスンを楽しんでいる。

 ここでは水泳だけではなく、「ルールとマナーを守り、友だちと仲良くし、コーチの話をよく聞く」ことも大きな指導目標にしている。「あたしの次の目標は、早くD級になって、青い帽子をかぶること。その次は最高クラスのE級の白い帽子よ」。生後五か月からプールに親しんできたという五歳の長峰光華(みか)ちゃんは、次の目標に向かってまっしぐら、水しぶきを勢いよく跳ね上げた。

 「ウイング三沢」所長で指導員でもある丸山義之さん(46)は、「泳げる人と泳げない人の差は、単に水への適用能力の違いだけ。環境と指導さえ整っていれば、誰でも泳げる。子どもも大人もまったく同じ」という。親からは「子どもの体が丈夫になった」「何事にも自信を持てるようになった」などの声が聞かれる。

 子どもの指導は子どもの目線に合わせ、「水の中に宝物があるから探してこよう」などとストーリー性を持たせ、子どもを引きつける工夫が欠かせない。子ども本人の達成感、満足感は極めて高く、これが大人へと成長していくための、確かな自信につながっていくようだ。(山田満智子)

 ◆プリザーブドフラワーに挑戦 新素材を自分流アレンジ
 ■弘前■ 生花のようにみずみずしい感触でありながら、数年間、水なしで美しさを保つことが出来るプリザーブドフラワー。生花を特殊な溶液で加工したもので、このところ全国的にフラワーアレンジメントの新素材として注目を集めている。このプリザーブドフラワーを使ったフラワーアレンジ講習会がこのほど、市内の生花店で開催され、人気を呼んだ。

 主催したのは、生花店「フローリスト花束」を経営する小山内紀子さん(34)と、フラワーコーディネーターの木田直子さん(30)。まず、ピンクのバラやカーネーションを中心にして、バランスを見ながら他の植物を組み合わせていく。「花だけでなく、ビーズやリボン、羊毛など異なる素材をあしらうことで、華やかで温かい雰囲気に仕上がる」という木田さんの説明を聞きながら、受講生たちは自分流のアレンジを楽しんだ。

 親子で参加した小田桐ヒロ子さん(53)、奈緒子さん(27)は、「プリザーブドフラワーには以前から興味があったが、県内ではまだ教えているところがほとんどないので、参加出来てよかった。早速、リビングに飾りたい」と話した。なかには、友人の誕生日プレゼント用にと、さらに材料を買い求める人もいた。小山内さんは「お客さんの評判が大変良かったので、要望があればまた開催したい」と語った。(須藤ゆか)

 


2004-03-10 13:42:00

『朝日新聞』 平成16年(2004年)3月10日

 青森の救世主と呼ばれる日が来るかもしれない。慶応大助教授の金谷年展さん(41)が仕掛け人になった県の「環境・エネルギー産業創造特区」。燃料電池の広域利用計画が全国で初めて動き出した。

 もう一つの顔は県産食材にこだわるラーメン店のオーナーだ。02年、青森市内に「あおもりラーメン金太郎」を開店。究極のラーメン、究極のチャーハン――。メニューには「究極」の文字が並ぶ。「地産地消」に付加価値をつけた「地産地加地消」の実践を目指す。「地元消費だけなら工夫は価格競争だけ。キロ千円をキロ3千円にする知恵を絞らないと」

 県立保健大助教授として過ごした3年間で魅力にとりつかれ、今や「青森応援団」を自認する。「もっと宣伝して下さい。宝物があるんだから」。巨漢を揺らし、青森の一次産業を励まし続けている。

 


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