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2002-04-24 13:58:00

『河北新報社』平成14年(2002年)4月24日

北海道と青森県の合併-。こんな考え方が、青森県の市民の間でにわかに盛り上がり始めてきた。市町村合併については、ここ三、四年が勝負どころと見られているが、県レベルの合併、いわゆる道州制の議論はまだ緒に就いた程度だろう。

これまでの常識的な考えでは、北海道と東北地方がそれぞれ「道」と「州」へ移行することを前提にしていた。しかし、両者の地域振興に関する委員会の委員を務め、それぞれのビジョンを作っているうちに、あることに気が付いた。

それは、北海道と青森県の今後の地域戦略ビジョンが非常に近く、それを達成させるために北海道に足りない要素が青森にあり、青森に足りない要素は北海道にある。すなわち、両者が組めば一プラス一が四にも五にもなるような大きな可能性があるのだ。

その一つが「世界へ発信できるような総合的なエネルギー技術・産業の集積の可能性」である。

究極のクリーンエネルギーである「燃料電池」が数年後に本格的に実用化されるのを前に、水素エネルギー社会をどのように構築したらいいのかは、世界的な大命題ともなっている。

その水素源として本命視されているのが天然ガス、すなわちメタンであるが、北海道と青森が手を握れば、このメタンを安価かつ大量に活用できる可能性が出てくるのだ。

北海道では既に勇払ガス田が開発され、青森では八戸沖でガス田が見つかっている。これに加え、それぞれの近海の海底には膨大なメタンがシャーベット状になって眠っている。

もう一方の重要なメタン源である牛馬などのふん尿の畜産廃棄物も加えると、国産のメタン産出量は日本随一となり、さらにバイオマス(生物エネルギー)技術メッカへの道も開かれる。

北海道・青森は、ロシア・サハリンからの天然ガスのパイプラインの入り口になることなども考慮すると、天然ガス(メタン)高度活用型のコンビナート基地としても最適地となろう。

こうした環境を生かして、この地域で「水素ステーション」が建築可能となるように水素関連の法規制を緩和したり、燃料電池の最適運用を可能にするために送電線を開放したりすることなどを全国に先駆けて実施すれば、世界中のエネルギービジネスを目指す企業がこの地域への投資を促進させ、地域内の企業や住民の光熱費が安くなるという、二重のメリットを享受できるようになろう。

二つ目は、高付加価値型食糧基地の可能性である。ご存知のように、北海道は国内随一の食糧基地だが、素材供給だけではなく付加価値を高めるためのさまざまな研究開発にも、積極的に取り組んでいる。また青森の場合には、特産のリンゴ、ニンニク、ホタテ、長芋、牛肉などがいずれも国内際高級品で、高い付加価値が備わっている。

食べ物以外の青森ヒバなども高付加価値の資源だ。北海道と青森が手を組めば、量・質とも日本随一の高付加価値型第一次産業のモデルを構築していくことも可能だろう。

三つ目は、観光における相乗効果だ。

あるアンケートによると、東京の人々が国内観光したい場所のナンバーワンは北海道だという。一方の青森は下位に甘んじている。しかし、誤解を恐れずに言えば、北海道は若干イメージ先行なのに対し、青森には「日本一の桜(弘前城)」「日本一の紅葉(十和田湖・奥入瀬」「日本一の祭(ねぶた)」と多くの人が認める日本一の観光資源が数多くあるにもかかわらず、過小評価されているように思う。

北海道と青森が観光で連携し、新しいサービスを開発しながら両者の弱点である宿などのサービスの問題を徹底的に改善していけば、最強のコンビといえる。

それ以外にも、北海道・青森合併のメリットは枚挙にいとまがない。

青森が北海道と合併した場合、岩手、秋田両県は仙台市を中心とした東北州に残るのか、それとも北海道・青森連合につくのか。いずれにせよ、宮城県や仙台市には、それらに立ち向かうための地域戦略が求められることになるだろう。