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2003-07-17 13:51:00

『週刊新潮』平成15年(2003年)7月17日号

金谷年展(41) 慶應義塾大学大学院助教授

私の専門は、エネルギー・環境政策。今は燃料電池に取り組んでいて、昨春、慶應義塾大学に招かれたのも、大学側が燃料電池を生かす地域戦略の研究プロジェクトを発足させたのがきっかけだった。

が、もう一方で、私はこの2年間に、青森、仙台に2軒のラーメン店をオープンさせた。

地元で採れる美味いものが、なぜ地元を素通りして、東京の料亭に行ってしまうのか。「地産地消」。地元で採れる産物を地元で消費してこそ、エネルギー、コストの節約につながり、地域の産業の活性化に貢献できるのではないか。が、通常、学者がするのはここまで。実践はしない。しかし、私はそれを実践することにした。おかげさまで仙台店はオープン半年で月に1万5000食という全国でもトップレベルの麺数を売る店になった。

ラーメンのスープに使う素材は、仙台店では、酒田飛鳥のアゴの焼き干し、下北大間の極上真昆布、陸奥湾平内の帆立干し貝柱、福島の川俣シャモを使い、元有名フランス料理店のソーシェが丁寧に仕込み、味を作り上げていく。そして、ラーメンのトッピングには究極の卵「緑の一番星」の“半熟”卵。醤油ラーメンがこれで630円。

極上の素材で作った料理を1万5000円で食べさせるのは当たり前だが、ラーメンのように、誰でも手軽に食べられてこそ、地域資源活用、生活者重視の社会ができる。食の植民地構造反対。金太郎飴化反対の研究開発型ラーメン店を目指し、店の名は仙台、青森ともに「金太郎」である。